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朝井リョウのおすすめ小説・エッセイ10選

『読書の秋』「感動・青春・闇」

投稿日:2018年10月16日 更新日:

 

 

 

朝井リョウのおすすめ小説・エッセイ10選



 




 

 

・桐島、部活やめるってよ

 

朝井リョウという作家を好きになるきっかけとなったデビュー作
後に映画化もされています。

 

この作品は、高校生活を舞台に人間関係やスクールカーストについて触れながら、高校という狭い世界が全てであるかのように錯覚しながら生きている高校生を皮肉を交えて描いています。

 

作中で、タイトルに出てくる桐島は、出てきません。

バレー部のキャプテンである桐島はスクールカーストの上に位置するからなのか、周りの生徒の会話などに登場するだけ。

なんだか、「藪の中」の構成を思わせる作品でもあります。

 

スクールカーストのようにランク付けしたり、されたりするのは嫌いだが、カーストの上に位置する桐島がバレー部をやめるということに対して、周りの人間には少しづつ影響が出るが、これがもし、カーストでいう下層の人間が、何かをしたところで、何も変わらない毎日が続くんだと思うと少し身が締め付けられる。

 

どちらが偉いとか、偉くないとか、そういうものではないけれど、高校生年代では、狭い世界でのそういったことがすべてだったりする。

 

朝井さんの作品の1冊目に読むならこの“桐島”からがおすすめです。

 

 

 

 

・星やどりの声

 

朝井さんの2作目。

この作品を読み終えたときに思ったのは、朝井さんはこういった真っ直ぐで温かい小説も書けるのかということだった。もちろん、良い意味で。少し意外だった。

 

6人の兄弟姉妹、そして、家族の物語。劇的な展開があるわけではないけれど、引き込まれるように読んだ。

各々の想いがとても美しかった。

 

この作品を朝井さんは学生時代に書いている。
こんな小説を書ける朝井さんに嫉妬する。

 

 

・もう一度生まれる

 

大学生5人の青春を切り取った短編小説。

 

大人とは胸を張って言い切れない。しかし、子供でもない。
そんな時期の迷いや焦りを感じながら過ぎていく日常に潜む一瞬のきらめきを描いている。

青春を決して美化していない、リアルな閉塞感が感じられる作品でした。

大学生の方には特に読んでほしいです。

 

 



 

・少女は卒業しない

 

廃校が決まった高校での最後の卒業式。
7人の少女の感情、想いが紡がれる連作短編集。

甘酸っぱく、美しい作品でした。
朝井さんの作品の中でも特に好きな作品です。

 

文章がとにかく美しい。
瑞々しくて、キラキラしていて、とても美しい。

7人の少女がそれぞれの別れに向かっていく日々はこんなにも切なくて、苦しくて、それでいて幸せで綺麗なものなのかと。

 

 

 

・何者

 

直木賞を受賞し、映画化もされて、話題になった作品です。

就職活動をする男女5人の物語。

 

誰しもが心の奥に持っている嫉妬や妬みなど、闇の部分を上手く表現していて、確かに就職活動というモノにおいて、最も人間のそれらの闇が出てくるんだろうと感じます。

作中にTwitterのつぶやきが出てくることが今の時代のリアル感を強くしているなと。

こんなに自分の人生に不要なところで疲弊していくのは無意味だなと強く思うが、これは自分の周りで展開されていることでもある。

 

自分を偽ってまで何かを手に入れようとは思わない。

これから就活をする人には刺さり過ぎてしまうかもしれない。
就活を経験した人には嫌な思い出が蘇ったり、懐かしさを感じるのかもしれない。

立場によって、感じ方は変わってくる作品ではあると思いますが、おすすめです。

 

 

・世界地図の下書き

 

児童養護施設で生活する子供たちを描いた作品。

心に不安や寂しさを抱きながら生活している子供たち。
残酷な運命を目の前にしながらも、逞しく、そして力強く生きていく姿に感動し、勇気をもらえる。

いじめられたら逃げればいい。
笑われたら笑わない人を探せばいい。

逃げてもいい。
無理をしてまで立ち向かうことは決してない。

そこから逃げることだって一つの勇気。

逃げたら負けみたいな風潮がこの国にはあるけれど、それがそもそも大きな間違いなんだと。

 

 



・スペードの3

 

社会人の女性3人に焦点を当てた作品。

人より優位に立ちたいし、優越感を得たいし、承認欲求を得たい。
美しい表面だけを見せていたい。

そう誰しもが思っているはず。

読んでいると3人ともに愚かだなぁと思うけれど、何も本の中だけの話ではないのだと。

待っているだけでは何も変わらない。
私の人生は私だけのもの。

 

『スペードの3』上手いタイトルを付けるなぁと。

 

 

 

・武道館

 

女性アイドルグループ「NEXT YOU」に所属し、活動していく中での葛藤や、迫られる決断など彼女たちの心模様を描いた作品。

アイドル戦国時代と言われる現代において、市民権を得たアイドルたちを取り巻く環境が上手く描写されている。

 

彼女たちアイドルが中心で物語は進んで行くが、本当に焦点が当たっているのはファンや社会など、彼女たちアイドルを取り巻く人々や物事なのだと感じた。

アイドルに対して、純白を求めるファン、一つでも落ち度を見つければ、週刊誌が面白おかしく取り上げて、社会全体が総叩きにする現代社会。

匿名で少女たちに対して、誹謗中傷を書き連ねる人々。

現代のアイドルを取り巻く環境の異常さを皮肉も込めながら描くことで問題提起を行っているのではないかと感じました。

 

僕は特別アイドルが好きなわけではないけれど、受け取るものが多くあった。

アイドルが好きな方には是非読んでほしい1冊です。

 

 

・何様

 

「何者」のアナザーストーリー、スピンオフ作品、

「何者」との繋がりがあるので、もう一度「何者」を読んでから読むことをお勧めします。

内容を覚えていなくても、短編集として読めるとは思いますが。

登場人物について、より知ることができる作品でもあります。

 

 

 

・時をかけるゆとり

 

上京の日々、バイト、夏休み、就活、そして社会人生活について綴られたエッセイ集です。

特に大学時代のエピソードは笑いながら読めます。

小説では感じられないある意味で本当の朝井さんの一面が感じられる作品であるとも言えます。

自分自身のエピソードを自虐を込めて綴っている作品です。

何も考えずにさらっと読めるので、気軽に手に取れる、そんなエッセイになっています。

 

 




以上、10作品を紹介してきました。

朝井さんの文章、描写はとても美しい。

読んでいるとそう何度も感じるので、是非1冊からでも手に取っていただければ嬉しいです。

読書の秋。朝井さんの作品を読んでみてはいかがでしょうか。

 









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