地上波でのサッカー中継の在り方。解説者の存在意義をもう一度考える。
『catorce0014』「戸田和幸、中西哲生、小澤一郎」
Contents
解説者とは何か?
戸田和幸氏をはじめとする解説者の方々からの問題提起などもあり、日本のサッカー界においても「解説者とは何か?」ということについて議論が起こっている。
先日の国際親善試合、コスタリカ戦を例に挙げて考えてみたい。この日の地上波での中継は日本テレビだった。解説を担当していたのは北澤豪氏と城彰二氏の2人だった。
解説者とはピッチ上で起きている現象やプレーを言語化して、視聴者に分かりやすく伝えることが仕事の大枠としてある。
もちろん、テレビ朝日で解説を担当することの多い松木安太郎氏のように、地上波とCS放送など視聴者のタイプによって、自身の解説のスタイルを分けて使いこなすといった方々もいる。
視聴者にピッチ上で起きていることを伝えることが一つの役割
話をコスタリカ戦に話を戻すと、このゲームの解説者2人は、解説者として解説席に座っていたのではなく、ただの観客として解説席に座っていたように思える。
90分間、ピッチで起きていることを言語化していたわけでもなく、「面白い!」「ワクワクする」など、ただゲームを観た感想をつらつらと並べていただけだった。
サッカーを地上波で観る機会が激減した昨今において、地上波でサッカーが中継されることの有難さは十分に理解しているつもりだが、これでは偶々このゲームを観た視聴者の方や地上波で中継があるから観てみようとチャンネルを合わせた視聴者の方にとっても、普段からそれなりにサッカーを観ている視聴者にとっても、何もプラスではないと感じる。
どこの層に向けて伝えるのかという難しさは実際に解説席に座ってみなければ、その全てを理解することはできないが、このゲームに関して言えば、それすら考えていなかったように思う。
地上波で戦術について、深く掘り下げろとは思っていないが、最低限、初めてサッカーを観る方にも“ピッチ上でいま何が起きていて、どういう理由でこうなっているのか"が理解できるような解説、伝え方をすればフットボールというスポーツの面白さが少しでも伝わるのではないだろうか。
ピッチ上だけでなく、解説席にもポジション争いが必要
クラブや代表チームにポジション争いがあるように、解説席にもポジション争いがあって然るべきなのではないだろうかとそんなことを考えたりもする。
解説席に座る方々も多くがサッカー界で生き抜いてきたたちであろう。ならば、なぜ現状に甘えているのかと問いたい。ポジションは与えられるものではなく、勝ち取っていくもののはずだ。
ただ、これに気付かず変わろうとしないのであれば、違った形の中継や解説に視聴者は移動していくだろうと思う。
情報は得る側が選ぶ時代へ
情報を選択するのは視聴者である僕らで、今までは一通りしか選択肢がなかったのに対して、徐々に様々な選択肢が提示されつつある。
その一つが戸田和幸氏と中西哲生氏の二人がYouTubeから始め、有料化に踏み切った『裏解説』である。
まずは、YouTubeの裏解説を観ていただければその全てが伝わるのではないかと思います。
情報は与えられるモノではなく、我々が選ぶ時代へと変わりつつある。これだけは確実に言えることです。サッカーを観る全ての人に「絶対にこれを観てくれ」なんてことは思っていません。
しかし、「こういった選択肢もありますよ」という提示をしている方々がいるということは知っていただきたいと思います。
日本サッカーが強くなるためには、選手たちのレベルをあげるだけでなく、私たち観る側のレベルの向上は必要不可欠であると感じます。各々が自分の考えを持地、もっと、あちらこちらでフットボールの内面や、奥深いところを議論することが当たり前の国になっていけばいいなと思っています。
【書評】『日本代表とMr.Children』「じゃあ、お前がやってみろ」という一言が当たり前のように聴こえてくる日本の現状。そして、サッカー日本代表。
有料化することについて
また、YouTubeで無料で配信していたサービスが有料化に踏み切ったことを嘆く意見をいくつか目にしましたが、サービスにはそれ相応の対価が発生するのはごく当たり前のことだと思います。
日本は無料にこだわりすぎているのかなと感じます。サービスがより良いものになるためにも、対価は必要ですし、逆を言えばサービスを提供する側にとっても、お金を払ってもらっているのだからより良いものを提供しなければならないという意識は少なからずはたらくはずです。
僕は無料で配信するよりも有料で配信するべきだと思っているので、このまま頑張ってほしいと思っています。もちろん、ただ有料にするだけでは意味がありません。その対価にサービスが見合っていなければ淘汰されていくだけのことですから。




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